なおたろのすゝめ

〜なおたろのおすゝめを発信していきます〜

花火

もうすぐ夏ですね。夏といえば花火。

いつまでたっても花火っていいもんです。

 

夏の夜空に打ちあがる花火はなんとも言えないもの

があります。

線香花火のような繊細な美しさや、手持ち花火でも

気軽に楽しめる、こうした良さが花火の魅力に華を

添えているのでしょう。

ロケット花火とかロケット花火とかロケット花火と

か…いいですよね。

なおたろは…ロケット花火が…好きでした…

あの事件が起こるまでは。

 

小学校3年生の夏休みに起きたあの事件を語りましょう。

夏休みに佐賀県のお父さんの実家に遊びに行った時のことです。

ちょうど歳の近いいとこがいて……

久々に会えて嬉しかったのもあるし、早朝のラジオ

体操に一緒に行ったり、海に行ったり…楽しい毎日

を過ごしていたんですね。

そして夜と言えばやっぱり花火ですよね。

 

「花火しようよぉー!」と催促するなおたろ達。

 

でも大人の皆はお酒も入って気持ち良くなってるの

か1日動きまくって疲れてしまったのか全然動こうと

しない。

 

花火しようよぉー!!」と再び声を強める。

 

それでも一向に動こうとしない大人達……

 

ちっ。

 

ということで。

 

自分達でやっちゃおうぜってことになりました。

 

ちゃんと水をはったバケツを用意して家の隣にある

大きい駐車場で花火を始めたのでした。

 

最初はちみちみとした花火を楽しみ…やっぱり主役はロケット花火でしょう!

バシュン!

 

おぉ…。

 

宇宙だ。

 

あのような強力なエネルギー弾を外で思いっきりぶ

っ放せるなんて。

普通なら許されない禁忌行為を公然と行えるなんて。

最高に気持ちいい…。

 

なんとも言えない開放感に満たされて…いとこは駐

車場にとまっていた車にバシュバシュ打ち付けはじ

ました。

 

車に当たって弾ける火花…。なんて美しい…。

 

 

じゃない。そうじゃない。ここは止めなければ。

 

 

車はさすがにヤバイだろうということで駐車場を隔

てているコンクリートの塀にぶち当てようぜという

ことになった。

 

でも…わかりますよね。

 

あんな強力なエネルギーを壁にぶち当てるだけでは

フラストレーションが溜まるだけなのです。

宇宙まで飛び立つロケットが地上から飛び立ったと

いうのに5階建てのマンションの屋上に降り立つよう

なものです。

そんな理不尽なことはありません。

 

ぼくらは壁に向けていた照準をもう少し上に向けて

ロケットの威力を最大限に開放してあげることにし

たのです。

 

夜空に消えていく花火。楽しいなぁ……

 

しかしそう思っていたのも束の間。バケツに花火を

入れに行くとふと後ろのほうで赤いものが。

気のせいか…と思ってロケット花火を手にもった瞬

間…唖然としました。

2メートル以上あるコンクリートの塀の壁から火柱が

たっていたのです。

 

アングリーバボーです。

 

 

あんぐり口を開けるとはあの時のことを言うのでし

ょう。

なんということでしょう!

子供達だけで花火からの火事!

セオリー通りの事故!

これは!見つかってはいけない!

揉み消さなければ!!

ぼくらは瞬時に目を合わせ…素晴らしいコンビネー

ションを見せました。卓球、テニス、バトミント

ン…どのダブルスの選手もあの時のぼくたちのコン

ビネーションには敵わなかったでしょう。

すぐさま玄関のところでスイカを冷やしていたポリ

バケツから水を汲み取り…ダッシュで車のボンネッ

トに飛び乗り塀の向こうに水をかけるなおたろ達。

 

何度か続けるも…全く消える気配なし。

 

高さを増す火柱。絶望感にふるえるなおたろ達。

 

これはもう言うしかない…

 

泣きそうになりながら…玄関から…

 

「裏が燃えとうよー!」

 

狂うように叫びました。

 

あんなに狸のように寝転がっていた大人たちが「な

んねっ?!!」とババババッとでてきました。

 

そこからはもう…すごかったです。

がばすごかです、九州の血の人間は。

2メートル以上ある塀をおじさん達が忍びのように飛

び越えていき、壮絶なバケツリレーが。

イカを冷やしてた水が入ったポリバケツをフンガ

ーっと運ぶおばさんまでいました。

すごかです。

 

結局消防隊がやってくるまでにあの物凄い火を消してしまったのですから。

 

ぼくらが打ち込んでいた塀の向こうは草刈りした枯

れ草がたんまりある場所だったみたいで。

それはもうすごい火でした。

 

地方テレビに火事のニュースが流れてました。

 

消防隊の人からすごく怒られました。親からも。

 

花火のように燃えたぼくらの心はバケツの中でジュ

ッと消えたのでした。

 

それから九州に帰省することはなくなりました。

 

でもそれから20年以上たって…

 

久々にいとこ達が住んでいる九州へ遊びに行き、花火を一緒にして火事を起こした子とお酒を飲みました。

 

そして話題はあの火事の話へ。

 

あれからあの火事は誰が悪かったのか。

 

考えて考えて考えて。

 

住んでる場所は違えど、すでに2人で同じ考えに至っ

ていました。

 

「あれは大人が悪い」

 

もうその一言に尽きました。

 

保護者の管理不行届きだと。

 

長い歳月を経て…ぼくらの絆は強まったのでした。

 

でも、花火する時は気をつけましょうね。

 

たまやー。