なおたろのすゝめ

〜なおたろのおすゝめを発信していきます〜

兄に愛されてたんだなって実感した日

兄弟愛って、素晴らしいと思いませんか。

 

それに気付けた時。

 

その素晴らしさに感動するものです。

 

それがどんな気付き方だったとしても。

 

それが……どんな…

 

気付き方だったとしても…

 

あぁ、目を細めれば浮かんできます。あの頃の兄の顔が。

小学校3年生の時に家族で岡山に旅行に行った時のことでした。

忘れもしない、あの時、なおたろは弟として大事に

思われてたんだなって実感しました。

 

それまではというと…なにかと兄からこき使われ…

主人と奴隷のような関係だと感じていました。

ムカついていたなおたろは兄によくいたずらしてい

ましたし…

2人の関係はそこまでよくなかったように思います。

 

でもあの日を境にぼくたちは変わりました。いや、

ぼくの気持ちだけが変わったのかもしれません。

 

さぁ詳しく話しましょう。皆さん、ハンカチの準備

をどうぞ…。

 

旅館に着くまでの間ずっと太陽に照らされていたためか、なおたろは途中からぐったりグロッキーに。

 

どんどん症状が悪くなり…熱中症になってしまいま

した。

旅館について熱を測ると40度の高熱。けっこう危な

い状態だったと思います。

とてもしんどそうななおたろをよそに兄はどこか楽

しそう。くそぅ…。

 

そりゃ旅行ですからね。

 

でも、寝込んでいるなおたろをよそに、皆はお風呂

に行き、おいしそうなご飯を食べて……

 

なおたろはとても寂しかったのです、悔しかったのです。

 

夜になり…なおたろはずいぶんとマシになってきま

した。

 

そしてこのどうしようもないフラストレーションを

晴らしたい!という衝動に駆られたのです。

 

昼間からずーっと寝ていたなおたろは夜中に目を覚

まし、なかなか寝れずにいました。

 

するとちょうど兄がトイレに行くところで。

 

なおたろは今こそ寝込んで溜まったストレスを発散

してやろうと思いました。

 

うーん…どうしてやろうか。

 

うーん…うーん。そうだ!これだ!!

 

当時なおたろは、あだち充の野球漫画「タッチ」に

ハマっていました。特に弟っていう設定というだけ

で勝手に親近感を持ちカッちゃん派になっており…

それだけにあんなに元気だったカッちゃんが急に亡

くなったシーンを鮮明に覚えていました。

 

「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで。」

 

衝撃でした。

 

ってことで兄を陥れる作戦はこれだ!

 

"きれいな顔で死んだフリしてやろう"作戦。

 

最低です(笑)

 

そんななおたろのやり返し作戦に気付くはずもな

く、ジャーッとトイレの流れる音。

 

さぁ、皆さん最低な茶番をご覧ください(笑)

 

兄が部屋に入るやいなや、それと同時に急に病状が

悪化するなおたろ。

 

ハァハァ!ハァハァ!軽く体を痙攣させながら苦しそうな(フリをする)なおたろ←最低

 

その異変にすぐ気付く兄。

 

「大丈夫か!どうした!?」

 

ふっふ、まんまとかかりよって…愚か者め(笑)

 

「うぅ…うぅ…なんか…ダメみたい…死にそう…」

 

「なんでや!どうしたんや!しっかりしろ!」

 

「わからない…。息ができなくて…うっ…!!でも

自分が一番もうダメってわかってるから…ゴボッ!

ガハッ!」

 

兄は明らかに動揺して戸惑っている。マヌケな顔を

見るだけで吹き出しそうになったがここで笑っては

全てが終わる(笑)

 

いいぞ、もう一息だ。

 

ここで今までの思い出を語る作戦。どんな遺言を残

したかは正確に思い出せないが…

一緒にキャッチボールしたこと、ゲーセンで遊んだ

こと、お兄ちゃんのお菓子なくなってたのは、なお

たろが食べたこと、お兄ちゃんの下敷きが割れたの

もなおたろの仕業だったことをごめんって謝った

り…そういうことを話したのは覚えている。

 

兄はなおたろの最後の遺言を、ひたすら、うん!う

ん!とうなづきながら、ごめんねって謝っても、

「大丈夫!気にするな!そんなん怒ってへん!」と今にも泣き出しそう。

 

そして…極めつけはこのセリフでしょう。

 

「今まで…ご…め…ん。一緒に…ガハッ!いてくれて…あり…が………」

 

すべてを言い切らぬままガクッと脱力するなおたろ。

 

「死ぬなぁ!!なおたろー!!!」

 

叫ぶ兄(笑)

 

「嘘やろ?!嘘やろ?!え?!ほんまに?!」

 

明らかにうろたえる兄はなんと脇腹をこしょばして

きた。

 

まずい。笑ってはいけない!決して!今は耐えるん

だっっ!!

 

焦っているのかすぐこしょばしはやめて、今度は息をしてるのか鼻に手を当ててきた。

 

もちろん息くらい止めますよ。

 

そして布団越しに心臓の鼓動を確かめている。聞こ

えるはずないじゃろ(笑)

そして首に手をあてて脈を測ろうとしたり目を指で

こじあけたりしてくる。

 

ここで動いてしまっては今までの名演技が水の泡に

なると思い、ひたすら死んだフリ。

 

うぉぉぉん…!うぐぐぅー!ぐしっ。

 

泣いてる(笑)

 

うへへ(笑)楽しいぃぃ!!

 

心の中で歓喜していると兄が「起きろー!!」と心

臓マッサージをしてきたのだ!

 

痛すぎて一撃で、うっ!とのけぞり身をよじってし

まい…なおたろ劇場はあっけなく幕を閉じたのであ

る。

 

蘇生したことをぐしゃぐしゃの顔で喜ぶ兄。

 

それを見て吹き出すなおたろ。

 

ここで兄はなおたろの演技に気付き、首を絞めてきて。

この時本当に死ぬかと思いました(笑)

 

でもなおたろは嬉しかった。

 

自分のことをこんなに兄が想ってくれていたなん

て。

 

………

 

………

 

兄弟愛って、素晴らしいと思いませんか。

 

それに気付けた時。

 

その素晴らしさに感動するものです。

 

それがどんな気付き方だったとしても。

 

目を細めれば浮かんできます。あの頃の兄のマヌケ顔が。

 

愛してるぜ、兄ちゃん。