なおたろのすゝめ

〜なおたろのおすゝめを発信していきます〜

タクシーとわきがと私

 

やってきました、とある日のタクシー日誌。

 

 

夏の季節…汗のにおいとか、体臭が気になる季節。

 

電車の中、エレベーターの中…いわゆる密室空間で

スパイシーな香りを嗅ぐ機会も増えますね。

 

密室といえば、もちろんタクシーの中も例外ではあ

りません。

すごーくいい匂いのする人が乗ってきた時は幸せに

包まれます。

ダイソン顔負けの吸引力で車内の空気を吸い込んで

いる気がします。

 

でもすごくクサい人が乗ってきた時…その吸引力は

電池の切れそうな携帯クリーナー並みに下がります。

1日働いてきた汗くさいサラリーマンが乗ってきた時

も本当に辛いですが…

特にそれがわきがの匂いだった時…それはもうたま

ったもんじゃありません。

 

なおたろ、タクシーに乗り始めた最初の夏、においのキツい人が乗ってきても窓を開けれずにいました。

だって…お客さんが乗ってくるなり窓を開けたら

「お前クサイよ?」と言ってるようなもんじゃない

ですか。

冷やしてた車内の空気も逃げて暑くなるし…そんな

失礼なことできないよ…とひたすら我慢していました。

 

今ならコロナ対策で!と自然に窓を開けれたんでし

ょうねぇ。

当時のなおたろにはその勇気がありませんでした(笑)

 

そんな夏のある日、強烈な匂いを放つお客さんが乗

り込んできました。

 

行き先は20分ほど離れたそこそこ遠いところ。

 

でも窓は開けられない!

 

開始5秒でなおたろのニオイセンサーが作動し、吸引力は急激な低下をみせました。

 

そして強烈なニオイによるものからなのか、酸素不足によるものなのか…頭痛に襲われたのです。

 

くじけるな!まだまだゴールは先じゃないか!今か

らこんなのでどうするんだ!

 

なおたろは頭をひねり考えます。

 

どうすればいいんだ……。

 

とりあえずプランAを実行!

エアコンの吹き出し口を顔に当たるように向け、顔

の周りの空気を少しでも浄化する作戦にでた!

 

いいぞ……これならいけるかもしれない……

 

 

………と思ったのも束の間。

 

エアコンの風は車内の空気を循環させ、もうそんな

小細工では通用しないレベルの環境に。

 

「ぎぇぇぇえぇぇぇ!く、く、く、くちゃい……

 

鼻がもげるとは…まさにこのことなのか……!!」

 

こうなればプランBだ!

心頭を滅却すれば火もまた涼し作戦だ!

 

このニオイをな、な、な、なにかに例えることはで

きないのか…集中だ…

無の境地へ…心の持ち方一つでどうにかなるはずだ……!

どうにもならない…!くさい!

 

いや、諦めるのは早い……そうだ…心の持ち方一つ

だ。なんかこのニオイに似たようなものはないのか…?

 

なんだ…

 

なにかあるだろ…思い出せ…

 

活路はそこにある…というかそこにしかない!

 

 

 

ダメだ…なにも思い浮かばない……!!

 

そ、そ、そうだ!ラジオでもつけて気を紛らわせれ

ば!

ラジオの音量を少し大きくするとちょうど「部屋とY

シャツと私」が流れてきた。

あ、この歌知ってる。心の中で一緒に口ずさめば気

も紛れるだろう…。

 

心の中で一緒に歌い出すなおたろ…。

 

部屋とワイシャツと私♪ 愛するあなたのため♪

 

あ〜いい歌。でもくさい。

気を紛らわすのもやっぱり無理そうだ…限界も近い…

 

毒入りスープで〜♪ 一緒に〜♪ いこう〜♪

 

はい、逝きます…。。。

 

心頭を全く滅却できなかったなおたろは、仕方な

く…浅く口呼吸しながら…気持ち悪くなりながらど

うにかこうにかお客様を目的地までお送りしたので

あった…

 

任務完了の後の外の空気は、アルプスの山頂の空気

なんて比べ物にならないほど…世界一おいしく感じ

たのを覚えている。

 

 

 

 

そして次の日のお休みの日のこと。

 

嫁たろが嬉しそうにしている。

 

「このドレッシングおいしいねん♪二本も買っちゃった♪」

 

そうか、二本も買ったのか。そんなおいしいドレッ

シングなのか。

 

よかったな。

 

今日もかわいいよ。

 

 

用意されたサラダにトクトクと注がれるドレッシング…

 

なんだ…このニオイ…なんか見覚えが…いや…匂い

覚えが……

 

そうだ、忘れもしない。昨日のあのニオイだ!

 

なんじゃこれは!

 

わきがドレッシングやないか!おいしいけど…

 

ニオイがわきがだ…!でもおいしい…

 

すごく複雑な感情に襲われる……

 

あわててなんていうドレッシングかボトルに目をや

ると…こう書かれていた。

 

 

 

「コブサラダドレッシング」

 

 

 

まじまじと成分表を見る…

 

「わきが」とか書いてないか…?

 

書いてるわけがない…

 

ドレッシングをまじまじと見るなおたろに、嫁たろ

が声をかける。

 

「ね?おいしいでしょ?」

 

屈託のない嫁たろの笑顔に、わきがドレッシングだ

ねとは言えるはずもなかった。

 

おいしいよ!と答えながら…

 

今度からプランBの心頭を滅却作戦の時には、このド

レッシングのことを思い浮かべよう……!!

 

そう固く決意したなおたろだったのでした。