なおたろのすゝめ

〜なおたろのおすゝめを発信していきます〜

ある日のタクシー乗務日誌 後半

前回の続きでしゅ。↓

 

〜前回までの簡単なあらすじ〜

 

シャンプーだけをしてほしいというシャンプーに対

する情熱にあふれる通称シャンプーおばさんを乗

せ、どうにかこうにか予約を取って、メーター料金

5000以上は出るであろう離れた街の美容室まで仲良

くドライブすることに。

 

さて40分くらいは走るだろうか…。長いドライブに

なりそうだ。

でもシャンプーおばさんはようやく予約も取れてと

ても嬉しそう。

 

帰りもお願いしていいかしら?なんて言っている。

 

シャンプーだけしてすぐ出てきたとしても…往復し

たら12000円くらいいくぞ……マジか。

 

ありがとう、シャンプーおばさん。 好き。

 

なおたろは上機嫌になったシャンプーおばさんに聞

いてみた。

 

「なんでどうしてもシャンプーしたかったんです

か?」

 

どうやらシャンプーおばさん、介護疲れで今日家で

すっごくすっごく嫌なことがあって…

どうしても家から出たかったみたい。

 

体の調子も良くなくて、久しぶりに美容室行ってシ

ャンプーでもしてもらって外食しておいしいもの食

べてリフレッシュしたかったんだって。

 

え……なんか……可哀想やん……。

 

なおたろもなにかしてあげたい。この人にリフレッ

シュの風をなおたろも微力ながらでも吹かせてあげ

たい。

 

そう思いました。

 

かと言って料金を安くするわけにはいかないし…

 

そうだ!!

 

なおたろはシャンプーされて待っている間メーター

が上がらないようにメーターを、止めて、そこだけ

はサービスしてあげようと思ったのである。

 

そして無事に美容室に到着し、「メーターも止めと

きますね♪リフレッシュしてきてくださぁい」と笑顔

で送り出したのだった。

 

シャンプーおばさんも嬉しそう。

 

うんうん。

 

思う存分シャンプーされておいで。しばし癒しのひ

とときを満喫しておいで。

 

……今頃シャンプー台で泡に包まれてシャコシャコ

洗われてる頃かな。

気持ちよくなれてたらいいな。

なおたろの心もなんだか洗われて嬉しい。今こうし

てる間にも容赦なく上がろうとするメーターを止め

て、少しだけでもシャンプーおばさんの幸せに貢献

できているのだ。

 

……今頃トリートメントかな。いい匂いでしょ。

 

シャンプーおばさんの髪もきっとサラサラになるよ。よかったね。

 

……今頃ブローされてるのかな。いい感じにセットしてもらえてたらいいな。

 

すっごくスッキリした顔で出てくるんだろうな。

 

待ってるよ、シャンプーおばさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

 

 

 

 

 

 

なんか…遅くない?

 

 

あ、そうか、もしかして長いドライブだったから…

あれかな。そっか、先にお花を摘みに行ったのかも

しれないにゃ。

 

 

 

 

 

にしても…遅いなぁ…ヘッドスパに切り替えたのかしら…。

 

 

 

 

 

うーん……。

 

 

 

なんか…長くないだろうか……もう40分以上余裕で

待ってるぞ。

 

 

 

なんだか…イライラしてきたぞ…と思ってたら…

 

シャンプーおばさん出てきた!すごい嬉しそうな顔

してる!

 

いやん、よかったやぁん!サッパリしたね。よかっ

たよかった。その笑顔を待ってたんだよ。

 

 

 

ってあれ?すぐに異変に気付く。

 

 

 

 

髪もえらい短くなっとるやないかい!!

 

 

 

明らかにショートカットになってる……

 

 

 

イライラしてきた。なんだこの感情は。

 

いや、だめだ。感情を抑えるんだ、なおたろ。

 

今日ぐらいリフレッシュさせてあげたかったんじゃ

なかったのか。

 

カットくらいなんだ。すごく嬉しそうにしてるじゃ

ないか。

 

でもシャンプーおばさんは、自分はあくまでシャンプーだけしてきたんだアピールをしてくる。

シャンプーブローで1100円よ!と聞いてもない値段

まで言ってくる。

 

いやいや。

 

だとしたらあんた相当毛抜けたぜ?

 

抜けたか、ちぎれてるぜ?

 

明らかにショートカットになってるやん。

 

でもそれでも今日ぐらい好きにさせてあげようじゃ

ないか。

 

なおたろの心の中のライトサイドの部分とダークサ

イドの部分が激しく土俵際の攻防を繰り返している。

 

稀に見る激闘だ。

 

そんなこんなで…心の中で激しい攻防を続けながら

目的地の外食先のお店まで着いた。

 

メーターは11760円を指している。

 

「ちょっと高くなっちゃいましたね〜」と精算しよ

うとすると…シャンプーおばさんから衝撃の一言が!

 

 

「いいねん!貯金2000万以上あるからお金には困ってないねんなぁ!」(ドヤ顔)

 

 

 

 

 

え??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

 

 

 

 

 

 

サービスしなけりゃよかった…。

もうそれ以上なおたろの心の中でライトサイドからの反論の声は聞こえなかった…。

そして11760円という高い運賃を手に取りながら、思わずニンマリ。

次からはサービスしないぞ!!

完璧になおたろがダークサイドに落ちた瞬間なのであった……。

 

これはある日のタクシー乗務日誌である。